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2015年5月7日木曜日

正しいかわからずに練習することの意味

間違えたまま練習して来てしまうと皆様とってもがっかりされます。
「この1週間はなんだったの、、、」と。

でも合っているどうかわからず練習することはピアノでは良くあることです。普通のことです。子供に限ってはほとんどこれです。
そしてレッスンに来て注意されもう一度家に戻って直してくる。それの繰り返し。
何回も何回も。
が、大人の方はこの繰り返しが待てません。
正しいことだけ練習したい。
でも実はこの無駄に思える「間違いの繰り返し」。ムダではありません。


一つは、間違えても何でもとりあえず量という点です。
量をこなしていればそれだけ指や頭が使いやすくなっています。

二つ目は間違えてでも自分で考える力を付けるという点です。
ピアノの考える力って何かって言うと楽譜を音にする力、音を聴き分ける力、それを演奏するときにどうやればいいかの力です。間違いから学ぶ、このムダがピアノの考える力を養います。

例えば指使い。
はじめに間違えて覚えてしまうと直すのが大変だから、最初に正しい指使いを教えて欲しい、とよく言われます。初心者のころは指使いが書いてあるもので指使いは厳守する。でもある程度たったら指使いの書いていないものはまず自分で考えるようにする。
そして指摘されたら必ず正しい指使いに直す。
大変なのはわかります。
けれど、これの繰り返しで正しい指使いが身に付くのです。
よくお金をもらうよりお金を稼げる方法を学んだ方がいいというのと同じです。
指使いを教えてもらうより、失敗を繰り返し指使いを考えることを学んだ方がいいのです。

リズムも良く間違えてしまいますね。
音の高さと違って長さは耳で覚えなければいけないので間違えてやってきてしまうことはよくあります。でもだからこそ、1回や2回で出来る代物ではないのです。間違えては直され間違えては直されて覚えるのです。そうしたらまず今何を言われて今何をやればいいのか即時反応力がつきます。そして耳が良くなります。また集中力もつきます。
家に先生がいてすぐ教えてもらえたらいつでも聞けると思っていたら聴き方も雑になりますよね。

もう一つ、一番大切なことがあります。
音楽はやってみないとわからないもの。
短めのスタッカートにしたらあんまりしっくりこなかった、クレッシェンドをしたけどやり過ぎだった、トリルの数、ペダルを踏む箇所、指使いだってゆっくりならこの指使いで速くなったらそれだと弾きにくかった、、などなどやってみてからやっぱりこっちにしようということが音楽にはゾロゾロあるものです。脱力や曲想などは、もともと正解が何かあるものでないし目にも見えないし理屈でも難しかったり個人の主観も入ったりします。
また連弾やアンサンブルなど人と合わせるものはもっとそうなります。だからこう弾いてみては直す、というのの繰り返しなんです。しかも「こう弾く」までにものすごい時間かかってたりします。でも音楽はそういうもんなんです。


「間違えたくないから一生懸命考える」「違っているかもしれないけど、変わるかもしれないけど、だからこそすぐそれが出来るような力をつけておく」のが自宅での練習かなと思います。レッスン内で覚えようとする、変えようとする即時反応力は間違いなくこれで付きます。



急がば回れ。
間違えて練習しちゃうことが音楽の能力を伸ばしています。
めんどくさいことが実になっていきます。




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