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2015年5月21日木曜日

早期音楽教育の弊害

弊害という言葉を使うのはちょっと危険なんですが、ピアノのレッスンの情操教育や耳の発達の素晴らしい効果だけに目が向いて、善かれと思って子供に無理をさせてしまう親御さんもいらっしゃるので、あえて書いてみます。

ピアノが大好き!という子供でもさぼりたいときがある。遊びたいときがある。
休みたいときがある。逃げたいときがある。
でも休まなかった、やめなかった。
ピアノは嫌いでなくても練習は好きでない子がほとんどです。

それでも練習した。普通の子供には出来ない練習をやって来た。だからいいことはもちろんたくさんあるけど、その分以下のような性質が育つ可能性があります。


1、頑張ってやってない人に「何故やらない?」という気持ちになります。私ごときでも
  そう思った時期がありました。ピアノは一人で練習する楽器だし、出来ないことや失
  敗がすぐバレてしまうごまかせない楽器。だからすべて自分の責任で自分の力でやる
  ものだ、やらないといけないと信じています。だから、そうでない人を「人に依存し
  てやらない人」としてとってもシビアに判断してしまうことがあります。深く取り組
  まない人を「浅い人」として見てしまう傾向があります。

2、世の中には中庸という言葉がありますが、これが難しい。突き詰め過ぎて譲れないな
        ど協調性に欠ける点がすくすく育ってしまうかもしれません。

3、他のことをおざなりにする。小さい頃から「お手伝いよりピアノ」「何はさておきピ
  アノ」という生活をしていくと、自分中心になるかもしれません。そうはいかないの
  が世の中です。

4、3と似ていますが、大事なことと大事でないことの線引きが人と違う場合がありま
  す。他人がどっちでもいいことにやたらこだわったり、逆に人がこだわることが自分
  はどっちでもよかったり。それでクールでドライな性格と思われたりします。

5、子供時代を失っている。これはとても深刻な話です。上記4つはある意味長所でもあ
        るし個性と言えばそれはそれでOKですが、これはまったく別の問題です。これはだい
  たいやれば出来ちゃう子に多いです。本当はそこまではやりたくなかった、思い切り
  遊んでみたかった、他のことをしたかった、自分を認めて欲しかった、親に言いたい
  ことを言いたかった、などなどやり残した感が強いと大人になって生きにくくなりま
  す。

5に関しては、親はきっと「だったらやめても良かったのに」というでしょう。でも子供がそんな大変な練習を続ける理由はだいたい親です。親が怖いからでなく、お母さんがピアノが好きだから、お母さんの夢だから。「でもママはやって欲しいんだ」とわかってます。本音が聞こえています。しかもやれば出来る子なのでやっちゃってくれるんですね。

親御さんも高いお月謝を出して日程調整して送り迎えして大変でしょう。でもそれ以上の努力を子供はしていると思って下さい。小さい子がピアノみたいな地道なことするのは本当に大変なんです。子供と大人の時間の流れは違います。40歳の1年は40分の一だけれど10歳の1年は10分の一。子供時代の1時間の地味な練習は大人の4時間の練習くらいのもんです。

親があまりにもピアノを簡単に考えてしまうといい結果に結びつきません。「大変な努力をして立派だなあ」と子供の努力を褒めてあげて下さい。そして努力は必要だけど無理はしないと決めて下さい。また本番が終わったら、上手だった下手だった、評価は先生に任せて「緊張した?頑張ったね!」と言ってあげられる余裕が欲しいです。「(コンクールや発表会に)一緒に来られて楽しかった!」という気持ちも伝えて下さい。そして決して結果に文句を言わない。だったら自分で優勝してみろって話です。

1〜5まで弊害を書いてみましたが、弊害になるかならないかは何をやるかやらないかではなく、親子の関係だと思います。努力をする価値がピアノにはありますし、子供時代ピアノを相当やってても全然弊害になんかならないことだって沢山あるのです。楽しく気持ちよく子供の成長を見守って欲しくて、またお母さん自身の心の平安のために書いてみました。



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