ページ

2015年10月1日木曜日

毒には毒を

個人的事情で人前では弾かない時期が長くありました。
なのでもう一度人前で弾くというのは、大げさでなく清水の舞台から飛び降りるほどの恐怖でした。それでも弾こうと思ったのはピアノが好きだったからでも本当は人前で演奏したかったからでもなく「生徒さんだって頑張ってるのに示しが付かない、しかたない…」という思いから。

あの時仕方なくでもイヤイヤでも前日に死ぬほど弾く事を後悔してでも弾いた結果、私はとても大切な事を知りました。
「毒には毒を」。


最近グレープシードオイルというのが流行ってるらしいです。体にいい油らしいです。
私はその「体にいい油」って言うのがどうもうさんくさくて「いやいや、油は油だから」と思っていました。
しかし。
油を制するのは油、だそうです。
なんだか妙に納得しました。まさに毒には毒を、ですね。お化粧落とすのも油ですもんね。肉などの良くない油は良い油でキレイにするのが一番だそうです。


つまりどうしようもない恐怖に打ち勝つ特効薬は恐怖だという事です。
清水の舞台から飛び降りたところで、ピアノが上手になる訳ではありません。でも勇気を出して恐怖に向かったという事はまず自分の誇りになります。
そしてそこから恐怖で見えなくなっていた事が少し見れるようになるのです。
私は人前で弾く大切さを、初めて知りました。初めてです。子供の頃から学生時代は弾くのが当然だったから考えた事がなかったし、弾けない状況をこれ幸いとぬくぬくしていました。

ピアノは人前で弾いてなんぼです。きゅうりは食べられてなんぼです。
きゅうりがなったけど苦くて食べられなかった、ではダメなんです。

食べられるきゅうりを育てる、これが人前で弾く大切さです。













0 件のコメント: