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2016年7月10日日曜日

楽譜を買う理由

ドラクエで有名な作曲者のすぎやまこういちさんは、あの有名な序曲を5分で作ったそうです。それで人から「5分で出来た曲で著作権料ガッポリ稼いでるね」と言われるそうです。でもすぎやまさんは言っています。「あの曲は5分ではなく54年かけて作った」と。


楽譜に関して
「1曲欲しいだけで他の曲はいらないから1冊2000円もする楽譜は買いたくない」

「弾いてみなきゃどんな曲かわからないから2000円も出して買って弾きたい曲がなかったら勿体ない」

「趣味でやってるんだから楽譜にお金をかけたくない、コピーで欲しい」

という風に思う方が多いと思います。1枚の楽譜のコピーなら10円で済むわけです。
私も皆様と同じに、1曲だけのために楽譜は買いたくないし、見ただけじゃどんな曲かわかりません。買ってみたら思っていたのと違うからと1曲も弾かなかった曲集はザラです。同じ曲が何冊もに重複していたりします。そういう楽譜が家にゴロゴロしています。そんな楽譜がごまんとあります。仕事でも当然楽譜は全部自腹ですし、逆に仕事なのであまり良くなかった楽譜を使うわけにはいきません。
決してお金が余っているわけではないのにそれでも楽譜を買うようにしています。その理由とは。

私が自宅のお隣の特別安くはないスーパーでお買い物をするのと一緒の理由です。
なくなっては困るからです。


冷静に考えてみましょう。
「1ヶ月で10000ページの小説か、1ページのオーケストラ曲どちらかを書け、書かないと殺す」と言われたらどちらを書きますか?どちらなら書けそうですか?

小説ですよね。
もちろん小説も難しいですが、でも全然面白くなくても、話も支離滅裂で読めるような代物でなくても、自分の生い立ちから今日までをだらりだらりとりあえず日本語で書けば、まあ小説のテイは取れると思います。

でもオーケストラ曲を書くとしたら、、、。
ウビヒ語で小説書いて下さいと言われるようなもんでしょう。
まず見当がつかない。
一般の人にとってオーケストラの楽譜ってそれくらい遠い存在です。

となると、曲を作る前にまずオーケストラをよく聞かないといけない。
楽譜がどうなっているか学ばなくてはならない。
楽器の事を知らなくてはならない。
ピアノが弾けなくてはいけない。
楽譜の書き方を覚えなくてはならない。
入力ソフトが使えなくてはならない、、、。
1ヶ月で出来ません。
はい、殺されます。

杉山さんの54年というのは、こういうことです。
音楽は形にならないもの。だからこそカタチにするのはとても大変で難しい作業なのです。それが楽譜です。

口に合わないランチにだって食べたらお金を払います。楽譜も同じなんです。
2000円出して自分の好きな曲じゃなかったとしても、好きな曲1曲も入ってなかったとしても、人生を楽しませてもらう1曲を探すために支払うお金です。美味しいお店を探すにはそういう失敗も必ずしているものです。楽譜代は音楽がくれる幸せを探す旅にかかる必要経費です。

そうやって一生のお気に入りの曲を探せたら2000円だって破格の金額です。考えたら激安です。お花は枯れますが楽譜は永遠に残ります。暗譜を忘れても楽譜があれば10年後でももう一度学習しなおせます。

それに曲集があると、興味のある曲以外も結構見るようになるんですね。
そうすると「こんな名前の作曲家がいるんだ」とか「同じ作曲家はこんな特徴があるんだ」とわかりますし、「これはどんな曲なんだろう?他の曲も知りたいな、やってみたいな」と興味や知識が広がり、好き嫌いに関係なく弾いたりもします。
ちゃんとは弾けなくても試しに斜め弾きしたりするので、初見の練習にもなります。

著作権が切れた曲でも出版社が五線にしてくれているのです。これだって専門の知識がなければできません。どれだけ有難いか。

楽譜はどんどん絶版になっていきます。
せめて自分のレパートリーとして大切に心を込めて弾く曲はコピーでなく楽譜を買って下さい。ネットからのプリントでももちろんいいのです。


音楽が世の中に残っていくために、楽譜を世に出してくれる会社がなくならないために、才能ある作曲家がいなくならないために、そして自分の気に入ったその曲が次の世代の人も同じように楽しめるよう、楽譜を買ってください。













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